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What's Thanka プリント メール
作者 kanri   
2008/01/03 木曜日 02:16:57 JST

タンカとは?

  タンカとは、掛け軸様のチベット・ネパールの仏画のことで、語源はインドの布画(パタ)から。しかし、今ではインドはヒンドゥ教が主流となったので、パタは一点も残されていない。

  タンカはインドに生まれ、ネパール、モンゴル、ブータン、ラダック、チベット、中国、日本へと伝わった。チベットのタンカは、インドやネパールのパタと中国の軸装仏画の影響を受け、独自のものになった。

 チベットタンカの特徴は、日本ではあまりポピュラーではない父母仏(ヤブユム P-1)が多く見られることである。

 ヤブユムはいわゆる歓喜仏で、仏がパートナーを抱いた姿で表わせる。これはタントリズム(女性原理 シャクティと男性原理の融合)という意味と、宇宙と自己の合一という二つの意味がある。有名なものでは、カーラチャクラヤブユム(P-2)などがある。

  コットン生地をベースに、元絵通りに描かれた鉛筆の下絵に、岩絵の具・宝石(トルコ石・珊瑚など)・貝を砕いたものにニワカを混ぜて描く。完成すると、四方を赤・黄・青の錦布で表装。瞑想や観想、僧の儀式用に使われる。

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タンカの種類

素材で分けると、絵画(ディタン)や、金の地のキャンバスに描いたもの(セルタン)、黒いキャンバスに金を使って描いたもの(ナクタン P-3)がある。他は壁画、刺繍(ツエムドウブマ)、アップリケ(テドウブマ)、織物、版画(パルマ)、砂絵、宝石画(P-4)などがある。

A 尊格(仏様)で分けると

  • 仏・如来(シャカムニ・ブッダやアミターパ)
  • 菩薩(観音・文殊)
  • 守護尊<イダム>(カーラチャクラなど)
  • 護法尊(マハカーラ P-5・パンテン=ラモ)
  • 女尊(サラスワティ・ターラー)
  • 財宝尊(ジャンバラ =ほてい)
  • 雑尊(ガルーダ・チュースン)
  • 祖師(パドマ=サンバヴァ P-6・ミラレパ) ①・②・③・④・⑤・⑦・⑧ヤブユムあり。

B 歴代ラマを中心にもろもろの尊格の一大集会でもあるツォクシン(P-7)流派ごとに違う。

C 仏伝(シャカムニ・ブッダの一生)

D 極楽浄土図(P-8)

E 六道輪廻図(P-9)

 タンカの流派

  • カルマ・ガウディスタイル(カム地方を中心。七代カルマパが芸術に秀でていて、絵画だけでなくラマダンス(チャム)の衣装や字のスタイルも確立。
  • メンディ・スタイル(一番古くてダラムサラ中心)。
  • ケンディ・スタイル
  • メンサル・スタイル -以上が四大流派である。

 タンカの製作


  タンカはコットン布、又は絹の布で作られ、白土(ペインティング・パウダー)にニワカを混ぜたもので、布の目を潰し、日に干し、コップの底で何回も擦り表面を滑らかにする。そして木の枠にコットンの糸で張られる。色粉の付いた糸で中心、四方を決め、長方形の枠を作る。描かれる尊格はテキスト通りに縦横のラインが引かれ、身体比率を経典通りに鉛筆で描く。

  又は、鉛筆デッサンし、その上に黒インクでなぞった下絵を光に当ててトレースする方法もある。下絵が完成すると彩色。絵の具は、ニワカを混ぜ絵の絵の具であるが、現在は入手困難の為、ポスターカラー等のケミカルも混ぜたりする。宝石類(ラピスラズリ、パール、トルコ石、珊瑚)や貝を砕いたもの、草木から採るもの(藍、茜草等)等もある。(P-10)

  最後はチベットの太陰暦(ルナ・カレンダー)に基ずき、よい日(満月や新月)にマントラ(真言)を唱えながら開眼(目を描く)する。彩色後、水で溶いた金(タンセル)を塗り、光沢を出す。裏面にオーム(白)・アー(赤)・フーム(青)のマントラを書き、僧に読経してもらい、入魂するのが伝統的なやり方。それぞれ言葉・身体・心を表わし、頭(みけん)・喉・心臓の部分に書く。完成したタンカは赤・黄・青の錦布で表装され、画布の下には窓といわれる長方形の布が縫い込まれ、保護のための包布(絹)が掛けられる。

 タンカの歴史


  チベット仏教の美術史は、627年にソンツェン・ガンポがヤルルン王朝の第33代王となるところから始まる。王は中国、ネパールの王女両方と結婚し、二人の王女の勧めで、仏教を取り入れる。中国の王女はシャカムニ・ブッダ像を、ネパールの女王はアクショーブヤ像をチベットに持って来、ラサのジョカンに納める。絵画としては、主に壁画が描かれている。

  10C~13Cとなると西チベットの方では、インドと中央アジアの繋がりが見られる(力強い線丸顔で豊満)。中央部ではチベット美術が花咲き始め、優雅でシンプル、繊細な色合い長い鼻、卵型の顔とインド様式。

  13C~14C の中央部と西部には、インド・ネパールの様式が強く見られる。細かい装飾、緻密な線でイキイキと描かれる。14C~15Cとなると、中国様式の影響も見られ、ゆったりとした衣水墨画の様な風景、独特な筆使いなどが見られる。15Cになると、インド・ネパールの様式に中国的な自然主義が融合。

  16C、西部では、もっと複雑で立体的なスタイルになる。東部ではカルマ・ガウディスタイルが発展していく。優雅で自然主義。中央部では二つの方向性があり、一方はインド・ネパール様式、もう一方は中国様式と各地方で様々なグループに分かれる。17C中央部では、自然主義プラスダイナミックな表現が出てくる。独自なチベット様式と呼ばれる表現である。中央部、西、東部とも美術は最高潮に達する。空間の広がりが尊重され、尊各と自然との統一、微妙なぼかしが効果的。絵の中に、引き込まれる様なリアリティがある(理想主義の時代)

  18,19Cはもっと複雑だが、より洗練される。この頃には、浄土図が流行する。17Cの理想主義に加えて、現実性を帯びた力強い表現が現れる。この様にして、チベットの仏教美術は現実世界と仏の世界が融合される方向へと完成される。見る者を、その絵画の中の浄土へと引き込んでいく。
(P-11)製作中のユミ・ツエワンと師のカルマ・チョプテン
(P-12)タンカ展(1995年・日本)
(P-13)仏像に彩色する僧(チベット・ラサ)
最終更新日 ( 2008/10/10 金曜日 01:15:14 JST )